愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

2022-01-22から1日間の記事一覧

馬酔木第101巻第2号

鼻先を犬に舐められ年男 那須淳男 沸騰のあと湯がしづか春を待つ 西川織子 両の手に包む子の頬雪催 丹羽啓子 武蔵野にふるみちのこり咲くすみれ 水原秋桜子 綿虫や歪みふくらむ遊びの輪 藤野力 ふりだしにもどす話や狸汁 同上 蓮根掘膝の水嵩かき分けて 堤京…

植田桂子

星屑を沖へ傾け葛湯吹く 筑紫野の雲かげ淡し雛の市 とりどりの栞聖書にさくら草 リヤカーに乗る子押す子や麦の秋 紫陽花忌頭上の星の濃くなりて 風鈴や藍の香のこる母の帯 祈る手をほどきて受くる菊の花 冬薔薇ピアノの蓋を固く閉づ 水よりも雲のひかりて初…