愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

上野犀行 第一句集 『イマジン』を読む

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『イマジン』は上野犀行の第1句集。序:水田光雄。

『イマジン』だが、印象は『ジョンの魂』

ジョンの魂 - Wikipedia

処女句集=ソロ1作目

ポートレイトであること

ロックンロールとは、悲しみをあくまで元気に歌う音楽であること

など共通する点が多い。

 

15句抄

さざなみのゆきつくところよりこほる

手のひらに蛍を夜風ごと掬ふ

 夜空より下がるおほきなハンモック

命日を歩いて少し日焼せり

金網の目のひし形や天高し

秋天へ向きて水飲場の蛇口

カウンターバーに大きな夏帽子

飛び跳ねてバレンタインの日の音符

中年われらレノン忌の寒昴

紫禁城より氷面鏡広ごれり

夢を売るしごとの名刺つちふれ

バラードの声かすれたる西日中

からつぽの空へ打ちたる花火かな

リフトより押し出されゆく夏野かな

ひと息に飲みてラムネの瓶返す

 

 

 

 


※本書は著者より寄贈を受けました。記して感謝します。