愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

神々の高さに鷹の光りをり 中村房子

火の色の落葉を踏みてより淋し 丹羽啓子

雪明り深き眠りをもらひたる 岡部名保子

老いてなほ夢は空色萩の花 永峰久比古

写生とは生と向き合うこと 市ヶ谷洋子

雪折の竹隠れなる水の音 石田阿畏子

しぐるるや灯の呼び合へる峽の里 長谷川閑乙

冴ゆる夜の高きに灯る二月堂 同上

網戸入れ青き海風通しけり 同上

浮草や禍福はつねに身のほとり 長谷川翠

水の香の旅信や山毛欅の若葉風 近藤暁代