早春のセーラー服が息づけり 高峯秀樹
雲の峰巨大マンション土台とす 同上
菊着せて菊師が姫に魂入れる同上
船客はすべて同胞秋夕焼 同上
たましひのしづかにうつる菊見かな 飯田蛇笏
わがいのち菊にむかひてしづかなる 水原秋桜子
水底のもみぢと浮いて居る井芹真一郎
みごもれる子にいちじくのやはらかき 持田きよえ
周平の里の時雨て居るばかり 斎藤峯男
飼葉桶底まで舐めて馬肥ゆる 朝雄紅青子
旅先に出会ひて冬を連れ帰る戸田一雄
待ち人の靴音さがす冬館 由良ゆら女
山茶花や石屋の石は日に眠る渋谷準次
高らかに響く槌音山笑ふ 由良桃子
文化の日少し厚めの卵焼き 高山由美子
少年の母を裏切りたき聖夜 宝絵馬定