愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

林檎の花

指先の広がってゆく初湯かな 山口誠

どちらともつかぬ返事や着ぶくれて 三木節子

大根引く土の鼓動に合はせつつ 猪上ひろみ

掌に酒湿らせて鍬始 古川邑秋

数へ日の地球儀まはしながら拭く 山口桃

火の色が火の色を呼ぶ野焼かな 日下光

竹の子の山ごと譲る古家かな 高橋宣彦

阿蘇の水集めし川や諸葛菜 松本よし彦

冬銀河天山に夜の高さあり 小浜史都女