愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

十口抄 宗祇

 

凡そ歌人と云は、ただ情欲を離れ、心を空虚にもちて、いささかも執をとどめざらんことなり。されば歌人たらんは人は、花に対して花を見、月に望みては月をあはれみ、当一念一念の風景をあはれみて、二念ヲとどめざるべきなり。ただ歌人は、儚きを下とすべきにこそ。しからば欲情おのづからはなるべきにこそ。