愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

シクラメン

油手を拭くやボーナス配られつ 黒坂紫陽子

忘年や別れてよりは川に沿ふ 岡本眸

古暦水はくらきをながれけり 久保田万太郎

今年わが虹を見ざりし日記了ふ 福永耕二

掛乞や商がたき連れ立ちて 根岸善雄

掛乞に鸚鵡が口をはさみけり 大網信行

暮るるまで木霊をたのむ年木樵 岡本まち子

風の来る道とおもひて麦を蒔く 能村登四郎

茎石を運ぶうしろに家鴨踵く 金子伊昔紅

百漉けば百の祈りや紙漉女 林翔

大阪にまたなき雪や牡蠣船へ 大橋桜坡子

 

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