愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

冬菊 コスモス


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敷松葉さらに雪敷きけがれなし 篠田悌二郎

炭ひとつかがやきこめて胸ともる 同上

炭おこり来るひとすぢのあたたかさ 中村汀女

深く妻の腕をのめり炭俵 能村登四郎

炭焼くや粧ふ山を遊ばせて 百合山羽公

煉炭を悪事なすごと煽ぎをり 小林康治

朝は夫夕のたき火は吾が燃やす 及川貞

まつくらに焚火踏み消しデモ動く 矢嶋渚男

大榾にかくれし炉火に手をかざす 前田普羅

榾明り触れては消ゆる梁高き 水原秋櫻子

炉にかざす父のこの手に育てられ 木附沢麦青

スチームやともによるひと母に似し 石田波郷

暖房や銀河の外へ星ながれ 新井盛治

ゆるやかに海がとまりぬ暖房車 加藤楸邨

暖房車高原の日を膝にする原柯城

白鳥のごときダンサー火事を見て 百合山羽公

遠火事に起きてより血は睡らざり 能村登四郎

友の手をまづ包むなり火事見舞 朝倉和江