愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

冬の月


f:id:inamorato:20221204195040j:image

みちのくのやまの出湯に一夜寝てはかなきゆめをわがみたるのみ 小池光

あけつぱなしの手は寂しくてならぬ。青空よ、沁み込め 前田夕暮

明るさに怯むほどなり人声も光を帯びて空を行き来す 伊藤一彦

学徒出陣七十五年後の今日この日の寧けき空に後の月見つ 橋本喜典

ささやかな焚き火へ木屑足すように色鉛筆の香を削りおり 鈴木加成太

 

この先は瀑布なのだろうスチールの椅子に身を置き話しておれば 中川佐和子