鳴りながら冬の風鈴おろされぬ鈴木花明
バレリーナの背のやはらか十二月 芳賀翅子
小六月犬に生れて犬と居る 栗岡信代
寒菊や微かに残る飛行音 鎌形清司
黒波の浜に合掌冬たんぽぽ 八島敏
凍滝の内に秘めたる流れかな 阿部華山
たましひはいつも枯野に置いたまま 谷口加代
耳飾り痛き青畝の忌なりけり 遠藤玲子
流れゆくものに別れや浮寝鳥 赤間学
パーキンソン病の義父よ
雪踏みにける振戦の身を乗せて 成田一子
翔さんの居ぬ前列に悴めり 同上
海底の無音を思ふ冬の薔薇 石母田星人
凍滝の星のつぶやき鬨也の忌 今野紀美子
天翔る支柱の如く滝凍つる 阿部華山