愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

2023-11-17から1日間の記事一覧

周辺山廬

あららぎのみづかげろふも夏のもの 川音や次第に見えて蜘蛛の糸 雲込めの白花愛しかたつむり 雨粒を涼しく濡らす雨なりけり 翠黛のみづを引き来ぬ洗ひ飯 丘に居て昼のはじまる木槿かな うそ寒のかなへびけぶりやすきかな 霧深く我にしたがふ霧のあり 以上 安…

言葉まだ発せずに居る大旦 片山由美子 声上げて即ちそこに初鴉 西村和子

常磐ホテル

天暮るる綿虫が地に着くまでに 橋本多佳子 水涸れて橋行く人の寒さかな 正岡子規 久方の空いろの毛糸編んでをり 久保田万太郎 風呂吹に杉箸細く割りにけり高橋淡路女 大綿は手にとりやすしとれば死す 橋本多佳子 木の葉髪泣くがいやさにわらひけり 久保田万…