愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

稲畑汀子

吉野山闇に沈めて朧の灯 稲畑汀子 又語る夫の遺影に鉦叩 同上 どの部屋も夫ありし日の秋灯 同上 深々と満ちゆけるもの月今宵 同上 空といふ自由鶴舞ひやまざるは 同上 四十代で、父と夫を相次いで亡くし、悲しみの旅にあったときに出会った景色。

川端康成『春景色』

竹林は日光の裏から眺めるのがいいことを彼は発見した。日のあたるおもてから見ては駄目である。

『伊豆の踊子』より

海はいつの間に暮れたのかもしれずにいたが、網代や熱海には灯があった。肌が寒く腹が空いた。私はどんなに親切にされても、それを大変自然に受け居られるような空虚な気持ちであった。明日の朝ばあさんを上野駅まで連れて行って水戸までの切符を買ってやる…

伊豆の踊子

道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追ってきた。

那須雪崩裁判

珍しく、裁判所に報道陣がいると思ったらこれか。

林檎の花

指先の広がってゆく初湯かな 山口誠 どちらともつかぬ返事や着ぶくれて 三木節子 大根引く土の鼓動に合はせつつ 猪上ひろみ 掌に酒湿らせて鍬始 古川邑秋 数へ日の地球儀まはしながら拭く 山口桃 火の色が火の色を呼ぶ野焼かな 日下光代 竹の子の山ごと譲る…

『経済学批判』 カール・マルクス

人間の意識がその存在を規定するのではなく、かえって、人間の社会的存在が、その意識を規定する

同じ写真がぶれるとゴッホの糸杉を思わせて不穏

若葉

真開きに河豚の鰭干す壇之浦 千々和恵美子

ポール・セザンヌ 台所のテーブル(籠のある静物)

川端康成 横光利一への弔辞

国破れてこのかた、一入木枯にさらされる僕の骨は、君という支えさえ奪われて、寒天に砕けるようである

山桜

全長の滝となるまで後退り 白岩敏秀 人はみな優しくなれり冬帽子 中尾公彦 鳥獣の星座組み上げ山眠る 山田佳乃 一弁もみだれず風の夕牡丹 水原秋桜子 鳥籠に鳥の居ぬ日々春深し 徳田千鶴子

桜に鶯?

精神が曇りそうな時は、孤独でいるのがよい 川端康成 「少年」

つくつくしまた問ふ母へまた応ふ 岡崎郁子 捕虫網野の風を追ひ兄を追ひ河野由美 引き返すことなき徑や草蛍 近藤悦子 稲妻や山一斉に立ち上がる 藤田和代 十六夜のしづけさに在る己が影 岩本水霜 糸底の手触り重き夜の秋 須川てる子 手の皺を笑ひ合うては麦酒…

興禪寺

仏生会