愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

夏足袋の高らかに踏む足拍子 加島葉子 深吉野に立夏の笛を吹き鳴らす山口素基 深吉野や鮎を開きて月に干す 同上 夕蝉の金色の聲ひびきけり 同上 草刈られ風は浮力を失へり 大橋嶺彦 赤んぼの手足のくびれ玉の汗 甲斐ゆき子 下北の潮の香の濃き山背風 布施協…

平賀寛子

身を使ひ切る尺取の一歩かな

ねむる子の紅さす耳や春の雨 祢宜田潤市 春を待つ影あるものの命かな 同上 椿落つるところ最も沢明り木暮陶句郞 病葉の足裏に親し山の径 綾野南志 水の下に動かぬ水あり青嵐 志賀康 発心の白あざやかに朴ひらく 長島衣伊子 滝白し人に王道ありにけり 同上

司馬遼太郎

武士という人間像は、その結晶の見事さにおいて、人間の芸術品である

ウインストン・チャーチル

凧が一番高く上がるのは風に向かっているときである。風に流されているときではない

大中寺 あじさい

庭石のひとつが蟇の声を出す 山本一歩 蚕豆のさみどりやさし兄の忌よ 白澤よし子

朝井リョウ プルタブの開く音。

帰りの遅い父の食卓にあった缶ビール。そこから拝借する形で飲んでいた母の赤い頬。大人はどうしてこれが美味しいのかと不思議だった、親戚だらけの大晦日。コンビニで気軽に酒を買う先輩をやけに大人に感じた上京後の春。独特の苦味を初めて美味しいと感じ…

じゃがいもの花

日の幹に触るる人見てあたたかし 関根誠子 風光るひかりて人を浚ひゆく 同上 雪代の行方あはうみ余呉の湖 依田善朗 百年に一つ歳とる雛かな 同上 紙雛匣開け直し納めけり 同上 みづうみの残照へゆく春の鴨 名取里美 類題を嵩より探す寒灯 鶴岡加苗 底冷の床…

日光

翳りても曇らざりけり春の水西村和子 春の川奏づるところ照りにけり 同上 蟻が蟻の頭乗り越え穴を出づ 深見けん二 先生は何時もはるかや虚子忌来る 同上 ゆく春や青鮫の声譜に移す 佐怒賀正美 滝桜この世は江戸の彼岸かな 同上 春暁やいつまで回る水車 柿本…

夕顔の音だったのか声だったのか 池田澄子 若芝に影とならざるものもあり 星野高士 輪をゆらし大きな石鹸玉つくる山西雅子 がらがらと山崩しては栄螺選る 南うみを 夏来る榛名十峰色たがへ 木暮陶句郞 どつしりと尻をつけたる菖蒲風呂 仙田洋子

花いちもんめ

肉親へ一直線に早苗投ぐ 能村研三 星一つ田の面に落ちて遠囃子 上田五千石

錦糸公園

青嵐 青葉には夏が詰まっているのかも 夏色を折り畳みたる青葉かな

宮沢賢治

風とひのきのひるすぎに 小田中はのびあがり あらんかぎりの手をのばし 灰いろのゴムのまり、光の標本を 受けかねてぽろつと落とす