愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ロマ書12章

Vengeance is mine,I will reply 復讐するは我にあり、我これを報いん

盆の月

泉辺にとどまらんか友訪はんか 中村草田男

馬酔木第102巻第9号

涙つぶ程の蛍をたなごころ ほんだゆき 海胆取の岩をへだてて交はす声 小田司 声高く解く纜や朝曇 丹羽啓子

酔芙蓉

ふるさとの土の底から鉦たたき 種田山頭火 よき声の鳥を近くにハンモック 渥美絹代 山椒魚身じろげば水みじろぎぬ 長谷川櫂 十六夜の雨声しばらく蓮にあり 水原秋桜子 月の出の棚雲染まる青葉木菟 岡田貞峰 松蝉や肩より乾く汐仏 白澤よし子 白樺を抜けてア…

リルケ

「薔薇の水盤」 花びらは大空のひかりを透さねばならぬ 千の空からこぼれ落ちる翳の一滴一滴をしずかに濾過しながら すると空の火焔の中に花粉をつけた雄蕊の束がゆらゆらと燃え上がるだろう

パスカル

光を閉じ込めようとしても、闇を閉じ込めることしかできない

吉岡実「聖家族」

美しい氷を刻み 八月のある夕べがえらばれる 由緒ある樅の木と蛇の家系を絶つべく 微笑する母娘

吉田哲二『髪刈る椅子』(2023年、ふらんす堂)を読む

『髪刈る椅子』は吉田哲二の第一句集。俳人協会会員。「阿吽」同人。十五句抄。序 塩川京子 産声のひときは高し実南天 鬨の声もて始まりし水あそび 団長の長き鉢巻秋高し 体重をペダルに集め山若葉 子の手ごとオールを掴むボートかな 登山帽梢にかけて顔洗ふ…

馬酔木第102巻第8号

扇子一本足す身軽さの旅鞄 村上絢子 更衣十字架は常にわが胸に 中島久子 青芝の弾力を踏みかをり踏み 馬屋原純子 八月が去る近き蟬遠き蟬 橋本榮治 持ち上げて底からも見て蝮酒 野中亮介 悪筆は奇才のあかし酔芙蓉 平子公一 虫すだく野へ月光の惜しみなし 小…