愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

浅蜊 ががんぼ 紫 白

むらさきが支へて春の虹立てり 細谷喨々 うすものの重り合ひて濃むらさき 山口青邨 紫は水に映らず花菖蒲 高濱年尾 地平線に一番近いラベンダー 前田弘 磨崖仏おほむらさきを放ちけり 黒田杏子 初なすび水の中より跳ね上がる 長谷川櫂 山晴れが紫苑きるにも…

わが言へば妻が言ひ消す鉦叩加藤楸邨 書いてゆくひとつのことに鉦叩 中村汀女 いねがての潮騒のなか鉦叩 佐野まもる きりぎりす潮よりしづかなるはなし 山口誓子 子らとまたながき八月きりぎりす 百合山羽公 はたはたに影及ぼせば飛びにけり 中村草田男 秋の…

熊谷晋一郎

自立とは、依存先を増やすこと

福神規子 

万緑にひそめるものの息聞かな 祭笛吹き納めたる口を拭く 竹を伐るこだまの中に竹を伐る 福達磨瞳なければけがれなし 浦日和取って返して若布刈舟

はなこころ

鈴虫の声水となり風となり堀口星眠 灯かざせば鈴虫移る松の幹 木津柳芽 鈴虫の高音に心つきゆけず 中島秀子 遅月の雲険しくて轡虫 水原秋櫻子 森を出て会ふ灯がまぶし轡虫 石田波郷 朝霧の雨となりゆく草ひばり 冨岡掬池路

佐野まもる

眉山に雷一つ佐野まもるの忌雷一つ遠く聴く佐野まもるの忌

エマーソン

今考えていることを断固として語りなさい そして明日はたとえ今日言ったことと凡て矛盾していたとしても そのときに考えていることを断固として語りなさい

サルトル

選ばなくてもやはり選んでいるんだ

マザー・テレサ

この世で最大の不幸は戦争や貧困ではない 人から見放され「自分は誰からも必要とされていない」と感じることだ

j・s・ミル

自分の感性や性格にそぐわない動機で行動したりすると 自分の感性や性格は熱く高揚するどころか 鈍くなり沈んでいく

ウツボカズラなど

芍薬を剪り弔へ身づくろふ 野中亮介

芋虫

友死すと掲示してあり休暇明 上村占魚 秋扇や高浪きこゆ静けさに 水原秋櫻子 檜原湖 七夕の湖漕ぐ舟を鵜が追へる 同上

高村光太郎 「あどけない話」『智恵子抄』

安多多羅山の山の上に 毎日出ている青い空が 智恵子のほんとうの空だといふ

ゲーテ

考えうる人間の最も美しい幸福は、究め得るものを究め尽し、究め得ぬものを静かに崇めることだ。

朝顔

大飛瀑藍ひらめくは秋なりけり 渡辺水巴 満月の秋到らんと音絶えし 飯田龍太 むさし野の秋は白雲よりととのふ 上村占魚 人声のうしろより来て秋立つか 加藤楸邨 今朝九月草樹みづから目覚め居て 中村草田男 冷え冷えと闇の定まる初秋かな 飯田蛇笏 新涼のい…

海の日の水はじきたる子の背中 市村健夫 男手に育ちし男の子冷し瓜 緑川啓子 ゆづり葉や生きるといふは遺さるる角川春樹 落ちてすぐ風に解かるる落し文 北川みよ子 己が身の短き影や炎天下 石井清一郎 月光に愛されて滝ますぐなり奥坂まや いつさいの音のは…

『山籟』平手ふじえ を読む

『山籟』は平手ふじえの第一句集。序句 中西舗土 跋 藤本美和子 「雪垣」同人、「泉」会員。 前田普羅研究をライフワークとする。俳人協会栃木県支部支部長。半生を見る思い。角川書店。2022年 立秋忌が奥付の発行日となっているのも心憎い演出。 風の音高嶺…

遠白き峰刃文のごとく雪連ね 岡田貞峰 地吹雪の中を発ちゆく救護橇 根岸善雄 あかつきの沼の面はがし雁発てり 小森泰子 月光に影をあつめて冬の雁 一民江 描き居し仔馬が顔を寄せてくる 藤野力

柳絮

海の波砕けて鳴らず花大根 中西舗土