愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

写真

海底火山噴火実験

プチポワ・ア・ラ・フランセーズ

草の餅

難波門に漕ぎ出て見れば神さぶる生駒高嶺に雲そたなびく

上巳

ひとしづくほどにひひなの灯をともす物いふ声の細く涼しき

時間はわたしを引き裂く虎であるが、虎はわたしだ ホルヘ・ルイス・ボルヘス

カラテ界のあしたのジョー星飛雄馬を探せ 梶原一騎杯記念 関東選抜大会

Simply the thing I am shall make me live.

尿素結晶化実験

my way of life Is fall'n into the sear,the yellow leaf. 翌朝

And shake the yoke of inauspicious stars From this worldweary flesh.

続羽鳥湖

雪の果はるかに火吹く山を恋ふ 高田蝶衣 女の目のなかにはね、ときどき狼がとおりすぎるんだよ 三島由紀夫

雛飾る

年新たいつもの道を海に出て 津川絵里子

恵方巻

はりはりとセロファンは鳴り花束の多く行きかふ街に風吹く 横山未来子 樹下に餌を隠す鴉のゆふやみよ言葉かぶせてひとのゆふやみ 小原奈美 口語「た」に代わる短歌における「ぬ」の重用 高良真美 口語の中に投げ込まれた文語の異物感は、発話の自然さを壊し…

年の豆

ゆき暮れて雨もる宿やいとざくら 与謝蕪村 影は滝空は花なり糸桜 加賀千代女 大雪にうづまつて咲く椿かな 村上鬼城 藪椿しづかに芯のともり居る 吉岡禅寺洞

水仙

木蓮に白磁の如き日あるのみ 竹下しづの女 うつうつと雨のはくれむ弁をとづ 臼田亞浪

聖歌隊胸の高さにひらきたる白き楽譜の百羽のかもめ 杉崎恒夫 たくさんの空の遠さにかこまれし人さし指の秋の灯台 同上 春雷のあとの奈落に寝がへりす 橋本多佳子

三回忌

雪掻の汗そのままに急須とる 岩田奎 くるくると出づる口紅蚊喰鳥 同上 面白い蟷螂生れつづくなり 同上

Bruit de l'eau / su de l'eau Ombre d'une feuille su une autre feuille

余瀬

神木をこぼるる鳥語冬あたたか 蓮實淳夫 落ちてより生き生き池の冬紅葉 同上 霜の花右は江戸への道しるべ 同上 歩足緩めて冬麗に身を任す 同上 紅の雲より氷あられかな 同上 いぬふぐり星のまたたく如くなり 高濱虚子

故宮

凍りゆるむ麦生畑の早桃はも 飯田蛇笏 谿空に錆びし日輪紙を漉く 長谷川素逝 峡より峡に嫁ぎて同じ紙を漉く 橋本多佳子 ぬくぬくと老いてねむれる田螺かな 原石鼎 三椏や皆首垂れて花盛り 前田普羅

三日

運命とはどこからかやってくるのではなく、人はそれを育みながら生きていく。生きるとは運命を開花させることである リルケ

二日

夏の日は母の烈しさ 総身を子に与へつつ燃え尽きゆきぬ 徳高博子 夕まぐれ油を移しつつ思ふあぶらの満ちてゆくはたのしゑ 岡井隆

元日

月は有明にて光をさまれるものから、影さやかに見えて、なかなかにをかしきあけぼのなり 『源氏物語』「帚木」

立山連峰

鳥声を呑んで地にあり春の雲 加藤暁台

かしの森公園

孤獨 田舎の白つぽい道ばたで、 つかれた馬のこころが、 ひからびた日向の草をみつめて居る、 ななめに、しのしのとほそくもえる、 ふるへるさびしい草をみつめる。 田舎のさびしい日向に立つて、 おまへは何を覗いて居るのか、 ふるへる、わたしの孤獨のた…

興禅寺

あふむけば口いつぱいにはる日かな 夏目成美 桶の尻干したる垣に春日かな 夏目漱石 大仏の俯向き在す春日かな 松本たかし 水底にゆく水うつる春日かな 大谷句仏 一人づつすれちがひゆく春日かな 久保田万太郎 ほろ苦き恋の味なり蕗の薹 杉田久女

冬紅葉

青霧にわが眼ともして何待つや 藤田湘子