愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『俳句で巡る日本の樹木50選』(本阿弥書店、2021年)を読む

『俳句で巡る日本の樹木50選』は広渡敬雄の著書。俳人協会幹事。「沖」同人。 「最近の俳句では、樹木も含めた自然が詠まれることが少なくなった。吾々は少しでも自然に眼を向け、その一員であることを自覚し、その素晴らしさとともに恐ろしさも知るべきだ…

青年の黒髪永遠に我鬼忌かな 石塚友二

夏蚕

炎上のあとを止めて夏木立 高野素十 夏木この家に照りこぞりては去り難く 飯田龍太 だしぬけに滝匂ひくる木晩(こぐれ*1)道 能村登四郎 光り合ふ二つの山の茂りかな 向井去来 混浴や漁礁声出す茂りより 阿波野青畝 葉柳に舟おさへ乗る女達 阿部みどり女 花…

ターナー 『吹雪』

ジョン・バージャー

愛は無垢(イノセンス)を授ける。 それは何物をも許さない。

ラ・トゥール『聖母子』

紫陽花 毛虫

夏氷挽ききりし音地にのこる 山口誓子 白玉やきいてはかなき事ばかり 篠田悌二郎 持ち古りし夫婦の箸や冷奴 久保田万太郎 鮨押すや折れむばかりに母は老湯山田みづえ 濡れて来し少女が匂ふ巴里祭 能村登四郎 河童忌の水滴しづむ泉あり 水原秋櫻子 鉾曳の大き…

ジャン=フランソワ・ミレー「烏のいる冬景色」

フォード・マックス・ブラウン『労働』

ルソー『言語起源論』

人間にものを言わせた最初の動機が情熱であつたとすれば、その最初の表現はたとえであつた。比喩的な言い方が最初に生まれたのであり、語の固有の意味は最後に見出された

ヴァルター・ベンヤミン『ドイツ悲劇の根源』

ジャンルを創設するか、廃棄するかのいずれかであり、完璧な作品にあつては、その両方が一体になつている

ヴァルター・ベンヤミン「歴史の概念について」

真の過去の像は、さっと掠めて消え去る。まさにそれが認識されうる瞬間に閃いて、二度と目にすることのない、そのような像としてのみ、過去は留め置くことができる

ヴァルター・ベンヤミン「物語作家」

何かを経験するとは、身に起きたことをいったん自分の中におとしこんだうえで、語り伝えられるようになることである。それにより、失敗も一つの経験として伝えられるようになる。このことは、他人に助言できる知恵を持つことでもあるが、そこに至る過程には…

ヴァルター・ベンヤミン『ドイツ悲劇の根源』

批評とは、作品を壊死させることである

夕影のどこより落つるビールかな 久保田万太郎 ビヤガーデン照明青き城望む 佐野まもる 父祖哀し氷菓に染みし舌出せば永田耕衣 氷菓もつ生徒と会へりともに避け 能村登四郎

夜半覚めて子らの寝息を聞き居たりふと浮かびたる去勢の不安

お丸山

わが国は筑紫の国や白日別(しろひわけ)母います国櫨多き国 青木繁

心太

夜祭の灯の渦の天武甲聳つ 中田小枝 杉伐りの楔に応ふしづりかな 引間豊 海までの街の短し鯵を干す 神蔵器

ヴァルター・ベンヤミン

夜を歩み通す時に助けになるのは、橋でも翼でもなく、友の足音だけだということを噛みしめたところだ。