愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

正月の凧


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みづうみの満月とゆれ残り鴨 田島和生

五月富士裾まで晴れて海に立つ 高橋悦男

雪合戦あの子ばかりを狙ひけり 徳田千鶴子

冬草の青きを踏みて耕二の忌 小野恵美子

一島へ舟を乗り継ぐ御講凪 橋本栄治

美しき声と歌留多を任さるる 野中亮介

大年の潮高鳴り鵜も鳶も 伊丹さち子

道ばたにガラスの指輪秋祭 那須淳男

大桶に海鼠どどどと移さるる 工藤義夫

遠き日の残光曳けり除夜の航 西川織子

還らざるものは還らず牡丹の芽

ほんだゆき

仰がるる大樹となりぬ冬夕焼 藤井寿江子

風呂敷に包む熊手の余りけり 小田司

息つぎの確かにありて虎落笛 中村房子

修女若し雪一片を胸に留め 丹羽啓子

わが影を奪ふものなき枯野かな 岡部名保子