『泉番』は白石正人の第二句集。 跋 福島泰樹 「椋」、現代俳句協会会員。
15句抄
その言葉澱となりたる半夏生
何ごとも無かつたやうな猟夫かな
鳥影の地表を走る復活祭
肩で息する引率の夏帽子
鍋肌にまはす醤油や雲の峰
夏つばめ駅は運河を跨ぐなり
水澄むや流れは瘤をつくりつつ
店員に軽口叩くアロハシャツ
冥土へと一段倒す籐寝椅子
三方へ運河分かるる枯桜
囀りや片手で受くるコイントス
昼の虫ひとに重なる人の影
判決の主文短し石榴割る
侘助や言葉に酔へば失へる
水仙花日の差すところまで歩く
本著は著書より寄贈を受けました。記して感謝致します。