愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

酔芙蓉

ふるさとの土の底から鉦たたき 種田山頭火

 

よき声の鳥を近くにハンモック 渥美絹代

 

山椒魚身じろげば水みじろぎぬ 長谷川櫂

 

十六夜の雨声しばらく蓮にあり 水原秋桜子

 

月の出の棚雲染まる青葉木菟 岡田貞峰

 

松蝉や肩より乾く汐仏 白澤よし子

 

白樺を抜けてアリスの夏帽子 野中亮介

 

降りてゆく滝への道は師への道 西川織子

 

どの道も黄泉へつづけり麦の秋 同上

 


f:id:inamorato:20230826160336j:image