手を伸べていづれと摘むにたゆたひぬ笛にと思ふ清き茎草
雲よむかし初めてここの野に立ちて草刈りし人にかくも照りしか
清潔な自然と、対峙しつつ、それにはじらうごとく触れる人間の心を初々しく描く
人物のかすかな心のゆらぎ
内省的心情、神秘との交信、憧憬
音立てて踏むにくづるる霜柱母に別れて里こそ出でて行く
窪田空穂
まひる野には、野鳥、草花などが自らの人生とともに描かれ、澄んだ高原を舞台とすることしばしば。全体として牧歌的な甘美さ、
空穂は傷跡をいと惜しみ、自ら反芻する。そこに咽ぶような色合いと愛情賀にじみでふ(武川忠一)
ワーズワースの影響。
自然は不思議な生命のゆらぎを現すものとして、それが自己の微かな心情と触れ合う。
夏に見る大天地はあをき壺われはこぼれて閃く雫