愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

初夏 人事

畦塗りてあたらしき野が息づける加藤楸邨

畦塗りのしづかな息も塗りこめて池田崇

田搔波きらめき居しが夜となりぬ 米沢吾亦紅

次の田へ瀬をかちわたり田掻馬 原柯城

苗代に一樹の蔭を濃くとどむ阿波野青畝

苗代の二枚つづける緑かな 松本たかし

早乙女の母を柱にたちあがる 平畑静塔

早乙女の顔見えて来て手を上ぐる 森田旅舟

田植機の一列比良へ靄を押す 西山禎一