2023-05-01 池田利子『蛍』(2023年、文學の森)を読む 俳句 十五句抄 白息を碁石に吹きかけ初手打つ 湯気あげて駿馬ぬたうつ春の泥 桜散る桜畳を厚くして 人に添ひ人に媚びざるつばくらめ 街の音消して泰山木の花 水底の拍動のごと泉湧く 大トマト日を溜め込みて熟れにけり 散骨船虹に向つて舵を切る たましひを擲つごとし土用波 しろがねの泡をまとひて桃浮けり 桃の香の満つる書斎や遺書しるす 客の咳止みて静けさみじろがず 事件簿を燃やすほむらや忘れ雪 介護士に心あづける初湯かな 啓蟄や凸凹さけて車椅子