『髪刈る椅子』は吉田哲二の第一句集。俳人協会会員。「阿吽」同人。十五句抄。序 塩川京子
産声のひときは高し実南天
鬨の声もて始まりし水あそび
団長の長き鉢巻秋高し
体重をペダルに集め山若葉
子の手ごとオールを掴むボートかな
登山帽梢にかけて顔洗ふ
父よりも上手くなるなよ喧嘩独楽
水筒のからんころんと夏野ゆく
風鈴の揺れて山並揺らしけり
ロングシュート外れ蛇苺にとまる
壁打ちの少年無言夏旺ん
革手袋嵌めつつをとこ来りけり
花種を蒔く種の色みなひといろ
基地の中まで寒林のひと続き
虎落笛泣きたるやうに父の肩
本著は著者よりご寄贈賜りました。記して感謝申し上げます。