『式日』は安里琉太の第一句集。「群青」「滸」同人。十五句抄。
悴みて水源はときじくの碧
古巣見てきて雲のおもての暮れすすむ
山霧の粒立つて日に流れをり
はんざきはみづを匿ひ十二月
涼しさや石より雲の彫り出され
さざなみにプールの晴れてきたりけり
空瓶は蜥蜴を入れてより鳴らず
くわいじゆうはひぐれをたふれせんぷうき
瓢の実を大げさに吹くはうが兄
鶉飼ふ皿のうすずみ櫻かな
式日や実石榴に日の枯れてをる
草笛のいつより濡れてゐし指か
春昼や声の吹かれて橋の上
霧深く我にしたがふ霧のあり
海鼠噛む風蝕の日を高く吊り