愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

朝顔のふるへる水をかけにけり 今瀬剛一

水引草山に近づく径ぬるる 石原英子

溝蕎麦や水車は水を遊ばせて 今順子

朝顔の庭はきやすき男下駄 梅津智子

流れ星をさなき願ひにこそ光れ すずき巴里

新涼や名画を運ぶ白手套 武田佐自子

しんぞうをドンと花火がおしてくる 柏原千佳

浦中の大漁旗吊り宮相撲 伊藤芳子

引く波に擦れ合ふ砂や盆の月 小見恭子

ゆるゆると遠回りして走馬燈 菅原くに子

ケーキよりはがすセロファン天の川 明官雅子

八月やダッグアウト千羽鶴 早川たから