愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

夏蚕

炎上のあとを止めて夏木立 高野素十

夏木この家に照りこぞりては去り難く 飯田龍太

だしぬけに滝匂ひくる木晩(こぐれ*1)道 能村登四郎

光り合ふ二つの山の茂りかな 向井去来

混浴や漁礁声出す茂りより 阿波野青畝

葉柳に舟おさへ乗る女達 阿部みどり女

花散りて甕太りゆく柘榴かな 杉田久女

声秘めて語る星空花石榴 石塚友二

臥すわれに微熱の如く花合歓は 石川桂郎

真すぐに合歓の花落つ池の上 星野立子

合歓老いぬ父この海に吾を抱きし 大野林火

夾竹桃河は疲れを溜めて流れ 有働亨

怒濤もて満ちる潮や夾竹桃 岡田貞峰

 


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*1:万葉集に寄る