『白桃』は岡田和子の第一句集。「馬酔木」同人、俳人協会会員。序・德田千鶴子。十五句抄。
栗飯を待たれてをりて今日は炊く
香水やそれとなくきく子の外出
それぞれの今日を聞きつつ梨を剥く
白萩の揺れゐてそそぐ雨見えず
木漏れ日を胸にちりばめ衣更ふ
橋の名の筆やはらかし十三夜
夜桜や星あふるると誰か言ふ
吊革に夫の嚔を恥ぢてをり
厨灯も今年のわれの影も消す
うすうすと刻を染めゆく酔芙蓉
帯結ぶうしろ鏡や初しぐれ
純白にこころをのせて餅を切る
草尾根と雲とのあはひ黄菅満つ
丸盆に丸餅そなへ春祭
天窓へ湯気押上げて大根煮る
*本著はご家族よりご恵贈賜りました。記して感謝申し上げます。