『革命前夜』は澤田和弥の第一句集。「天為」同人。序・有馬朗人。十五句抄。
うららかな光漏れくる化粧室
木の匙ですくふ黄金の雲丹の山
とびおりてしまひたき夜のソーダ水
短夜のチェコの童話に斧ひとつ
夕焼に一点サン・テグジュペリの機
便所より演歌聞こゆる残暑かな
A.Aと真青き刺繍星涼し
月も星も涼しい今日はパパの絵本
月光に蘇我一族の火を放つ
金秋をぼこぼこうまし豆大福
手袋に手の入りしまま落ちてゐる
眼前を大隈候のインバネス
祖父板前父板前僕鎌鼬
点滴を連れ寒月は父のもの
節分の鬼となりても腰低し