『十一月の橋』は杉原祐之の第二句集。山茶花同人。夏潮運営委員、俳人協会会員。 栞岸本尚毅。 15句抄。
本著は著者よりご恵贈賜りました。記して御礼申し上げます。
クレヨンを買うて帰らう花菖蒲
おでん屋の湯気の奥なるテレビかな
嬰児に顔まさぐられ春の夜
真直ぐな道真直ぐに雪が降る
妻に子がくつついて寝る野分かな
夜桜へ二階の窓を開け放つ
どこまでも子に誘われて落葉径
だぼだぼの雨合羽着てボート貸す
吠ゆるやうに斉唱しをるラガーかな
もつと大き朴の落葉を見せくるる
みどり子の肌の初湯の玉しづく
一枚の羊毛として刈り上ぐる
卒園の近くて帽子小さくて
煙草吸ひながら夜店の魚捌く
赤き灯を小さく燈し蛍舟