愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

渡良瀬葦焼


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雛の間に寝てたましひの眠られず 大石悦子

明るくてまだ冷たくて流し雛 森澄雄

雁供養星見えぬ夜は海荒れて 成瀬桜桃子

雁風呂や日の暮れ方を波さわぐ 豊長みのる

義士祭日照雨きし坂息はずみ 村沢夏風

 万愚節に恋うちあけしあはれさよ 安住敦

エイプリルフールの駅の時計かな 轡田進

緑の羽根心音奏づ上に挿す 本多静江

どんたくの鼓の音ももどりたる 吉岡禅寺洞

三方に窓ある部屋や大試験 徳川夢声

受験生呼びあひて坂下りゆく 廣瀬直人

校塔に鳩多き日や卒業す 中村草田男

口に出てわれから遠し卒業歌 石川桂郎

山彦を山へかへして卒業す 遠藤若狭男