愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

『俳句で巡る日本の樹木50選』(本阿弥書店、2021年)を読む

『俳句で巡る日本の樹木50選』は広渡敬雄の著書。俳人協会幹事。「沖」同人。

「最近の俳句では、樹木も含めた自然が詠まれることが少なくなった。吾々は少しでも自然に眼を向け、その一員であることを自覚し、その素晴らしさとともに恐ろしさも知るべきだと思う。」(あとがきより)
10句抄

山毛欅の生む一滴の水春の鹿

空かたき十一月のポプラ見よ 

一位の実さらに小さき掌にわたす

燕低し海にかぶさる醤油蔵 

遊園地より絶叫と青嵐

椴松や熊の爪痕鋭く深く

鵲の尾のぴりぴりと初御空

大海亀空のかなたに去りにけり

星飛びし空に影富士ありにけり

*本著は著者よりご恵贈を賜りました。記して御礼申し上げます。