2026-01-01から1ヶ月間の記事一覧
流星は旅に見るべし旅に出づ 大串章 落葉蹴るほどの小さき怒りかな 竹原静子 鉄骨を伝ふ雨だれ冬ざるる 壽さとみ 煤逃げをそつと匿ふ碁敵かな 佐野政信
『岩燕』は森恒之の第一句集。序・田島和生。「雉」同人。俳人協会会員。十五句抄。 一瀑の氷の翼ひろげたる 手を高く上げて友来る今日の月 岩燕日は月山に淡く照り 青胡桃水辺に赤子眠りをり 警策の白木艶めく大暑かな 浦上を長き貨車ゆく秋夕焼 奔流へ草叢…
『行人岳』は中村池塘子の第一句集。序・淵脇護。「河」・「河鹿」同人。俳人協会会員。十五句抄。 亡骸の父の髭剃る余寒かな 多喜二の忌牛の鼻紋を採る獣医 失語せる妻の目が澄む更衣 石蓴網揚げて朝日を滴らす ちちははの風の来てゐる夕涼み 川下の街は灯…
歯朶飾りの先がめくれて昼の月 瑠璃蜥蜴一歩を高く上げて処暑 三度目の息が余りて紙風船 青き踏む浮雲色の靴履いて 眠る山から一本角の鬼来るか 孵化したる金魚は赤き心臓持つ でで虫に水かけ家庭訪問す 羊走れば獣となりて残暑かな 日溜りの落葉一枚分の風 …
Il y a tout ce que vous voulez Aux Champs-Elysees
『聖河』は庄田ひろふみの第一句集。「天為」同人。俳人協会会員。十五句抄。 秋立つや刺繡に白き火の模様 教会に深き鍵穴梅雨に入る 湯の混ざる川の匂ひや十三夜 袖からも鼻からも入る夜霧かな 鳥籠に水の明るさ日脚伸ぶ 噴水の芯より太み始めけり 画鋲刺す…
歴史とは、歴史家とその事実の間の相互作用の絶え間ないプロセスであり、現在と過去の間の終わりのない対話なのです カー
わたくしといふ現象は 仮定された有機交流電燈の ひとつの青い照明です 宮沢賢治 しじまより空飛ぶいのち兆すらん 志賀康
初茜ことばは幸をもたらしぬ 藤田直子 双六や地球脱出してあがる 神吉貴子 舞初の扇遥かなものを指し 岡田眞利子 人日の電車に並ぶスニーカー 江見悦子 風花のふれたる物の色に消ゆ 谷中鈴子
『世界の起源』はマブソン青眼の第十一句集。「海原」同人。現代俳句協会会員。日本現代詩歌文学館評議員。十五句抄。 砂嵐に陽が差し無色の虹 メタセコイア根から胸までかすむ 青大将尾に頭を置いて息す この葉から地球食みゆくケムシ 宇宙から分け入つて来…
あてもなく一人旅する客を乗せ永遠に交わらぬ二本の線路
ヴィル・ダヴレー、木の間の沼 煮え切らぬ奴や猿酒やるまいぞ 中西夕紀
来賓もくちびる動く卒業歌 藤本一城 夏近し亀の産卵待つ砂丘 染葉三枝子 かまくらにきちんと靴の揃へあり 名久井清流 刈り終へて案山子を連れて帰りけり 同上 梯子より素足降り来る古本屋 能村研三 秋灯下肘を支点に型を彫る 石井いさお どぶろくの心の隅へ…
ゆきふるといひしばかりの人しづか 室生犀星 雪たのしわれにたてがみあればなほ 桂信子 胸紅き鳥の来てをり雪を割る 金箱戈止夫 雪の日や雪のせりふをくちずさむ 中村吉右衛門 ぬばたまの黒曜石の呼びし雪 平畑静塔
たましひの繭となるまで吹雪きけり 齋藤玄 雪にあきあきして万の鴉に火をつけとばす 細谷源二 雪片のつれ立ちてくる深空かな 高野素十 雪だけを見て雪を掻く雪明り 小原啄葉
何と言っても雪のおもしろさは、一切の光景を変えて見せるほどのものでありながら、それが何処ともなく消え去って行くところにある。その跡には土の肌も顕われ、大地はほほえみ、人も草木も共に活き返るような心地を起させる。「雪の障子」島崎藤村
あら汁に魚の目玉や寒日和 白井飛露 親指は能登の形ぞ春近し 小川望光子
きさらぎや森の初乳として樹液 成田一子 星月夜鼓動近くに笛を抱く 川越歌澄 包装紙は裸の匂い冬隣 瀬間陽子 首が動いて対岸の咳の人 鴇田智哉
透明なる歯車あまた右の目の視線に回転することあり 芥川龍之介
Et in Arcadia ego!