寺々の中に家ある干菜かな 岡本松浜
聖樹灯り水のごとくに月夜かな 飯田蛇笏
暮れ暮れて餅を木霊の侘び寝かな 松尾芭蕉
冬休とどろに波のひびくなり 久保田万太郎
卵一つポケットの手にクリスマス 西東三鬼
氷魚痩せて月の雫と解けぬべし 正岡子規
初雪やかけかかりたる橋の上 松尾芭蕉
一枚の餅の明りに寝たりけり 小林一茶
伸び上り高く抛りぬ札納 高浜虚子
年惜む橋のかなたと此方かな 久保田万太郎
一力ののれんにかかる粉雪かな 松根東洋城
湯気立ててひそかなる夜の移りゆく 清原枴童
白朮火を傘に守りゆく時雨かな 大谷句仏
しろたへの鞠のごとくに竈猫 飯田蛇笏