愛ね、暗いね。

あるいは小さな夜の曲

砺波


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おとうとはひかりに慣れず沙羅の花 古田秀

あたらしき靴の吸ひつき鳥の恋 同上

土曜日はおほかた待たされて嚔 同上

蟻穴を出る眠くても小雨でも 未補

奇術師の嚔におとうとが消える 同上

青に餓えて大暑に唸る発電所 同上

ストローに青がまつすぐソーダ水 山本一葉 蝿らしき点がせはしく動いてをり同上

白靴を汚さぬほどに動きをり 同上

秋の声水輪が水に戻るとき 同上

朝顔に指を濡らして出勤す 進藤剛至

こほろぎの声にこほろぎ帰しけり 同上

茶の花の蕊に押されてひらきけり 同上

その色のひとつに吾や大花野 同上